香山リカさんのスピーチ

 私は札幌生まれで小樽で育った生粋の道産子です。今は東京を中心に仕事をしていますが、出身を尋ねられ「北海道です。札幌生まれです」と答えると本当に誰からも羨ましがられます。「北海道 札幌出身っていいですね」と。「北海道 札幌、素晴らしい自然と美味しい食べ物、北海道って開放的で自由で大らかな所なんですよね。のびのびと暮らしていたんですか?いいですね」っていう風に言われます。もちろん北海道にはアイヌ民族への差別などの色々な問題もありますが、本州の人から「北海道って大らかで自由で平等でいいですね」と言われると「そうなんですよ。ありがとうございます」といつも答えて来ました。

 ところが数年前に本州の知り合いから北海道、特にこの札幌で特定の外国人や特定の特徴を持っ方達に対するヘイトスピーチデモが行われているのを知っていますか?と言われました。私は知らなかったので「そんなの札幌であるはずないじゃないですか」と言ってしまったのです。その知り合いから動画を紹介され本当にショックを受けました。この札幌、特にこの雪まつりの時期に会場の側で日本に住んでらっしゃる特定の外国人、在日韓国朝鮮人の方や中国人の方、あるいはわざわざ雪まつりに観光においでになった外国人の方に対しするヘイトスピーチ、心無い差別、その人達を追い出すようなとんでもない発言をしている人達の姿がそこには映っていて、本当に眼を疑いました。そしてその本州の知人も「札幌でこんな事があるなんて、本当にがっかりだ。北海道って本当に良い所だと思っていたのにこんな物もあるんだね」と言われて、私は自分が責めれている様な感じがしとても恥ずかしく悲しい思いをしました。

 今、日本全国でこういったヘイトスピーチデモに対して多くの方達が「こんな事あってはいけない」という声がどんどん高まっています。大阪市ではヘイトスピーチを規制する条例が成立しました。川崎市で行われたヘイトスピーチデモでは地元住民が「こんなものあってはいけない」と大勢の方達が立ち上がりデモを阻止するという行動も見られました。北海道 札幌はどうでしょう?まだまだこの問題に対する関心は高くないですし、条令などの動きもまだ見られていないようです。でもせっかく本州の方達、世界の方達が「北海道って自由で大らかで開放的で良い所だね」と思ってくれているんですから、ぜひ私たちはそのイメージを大切にしたいと思います。そしてここでこうやってみんなで立ち上がって、あらゆる方達に「札幌へようこそ!北海道へようこそ!楽しんでください」というアクションを起こせたという事はとても嬉しく誇らしく思います。ぜひこれからもこういった動きをこれからも続けていって「北海道 札幌 凄いね。色んな方達にとって差別のない開かれた街なんだね」と羨ましがられる様な街を一緒に作って行きたいと思います。これからも一緒に頑張りましょう。

 

民主党 大島薫札幌市議のスピーチ

 十二年前、レインボーマーチという性的少数者の人達のパレードが札幌で行われ、全国から2000~3000人の人達が集まった。その際(当時)上田市長が「札幌は皆さんを大歓迎します。札幌から差別のない多くの人達が未来に向け共に歩ける街にしたい」というメッセージを会場に出向いて訴えかけました。私たち一人ひとりが市民としてどういう思いで、どういう人達と繋がって行かなければならないのか、この事を私たちは問われている。

 そして二年前、ある市議会議員が「アイヌ民族なんて(もう)いない(んですよね)」という発言をし、愕然としました。彼らはきちんと歴史と向き合おうとしないのか、又はそういう機会がないまま何処かで聞きかじった知識でアイヌの尊厳を歴史を否定する発言を行う、これが私達の周りにある現実でもあります。もう一度きちんと歴史に向き合う事、在日韓国朝鮮人や中国人の方達がどのような道筋を経てこの日本で暮らし、そしてこれからどういう社会を一緒に作ろうとしているのか。その希望を共に語る事が出来る未来にしたいと思っています。

 まだ全国あちこちで行われるヘイトスピーチ。ネット上でも心が刻まれる様な酷い言葉が飛び交っている現状があります。そのひとつひとつを、その様な人達を私達は認めない、そういう人達を包摂して行く、彼彼女らが何故その様な発言をするに至ったか、なぜ歴史に対して向き合う事が出来ないのかをきちんと話し合える様な環境を作って行く事も私達の役割ではないかと思います。若いみなさんでウェルカムさっぽろアクションに取り組まれている事に心から敬意を表します。

 

共産党 太田秀子札幌市議のスピーチ

 残念ながら札幌でも雪まつり会場などを利用して人種や国籍の違い等で差別を煽るヘイトスピーチが行われています。私は昨年12月の市議会の代表質問で「国際都市を目指すこの札幌でヘイトスピーチは許さないんだ」という事を条令等を作って明確にすべきだと主張と質問をしました。市長も「ヘイトスピーチは遺憾であり恥ずべき物である」と答えました。今日は党派を超えて市議会議員も参加しています。 (※札幌市議会第4回定例議会でのヘイトスピーチに関する答弁http://togetter.com/li/909950 ) これからも人種や国籍等の違いで差別をする事は許さない。誰もが文化の違いを認め合って共に生きて行く社会を作る為に頑張ってまいります。

 法務局が行っている中学生への人権作文コンテストの報告集で感動的な物がありました。中学2年生の作文で、

 テレビでヘイトスピーチを知った時やめて欲しい、悲しく感じた。様々な思想があるだろうけれども、しかし罵倒されている人達に何の罪も無い事は分かる。命の重さは同じ。差別されていい人間はいない。本当の国際化とは何かと考え、行動できる大人に成長する事を決意したい。

 こう中学2年生は作文に綴りました。小学校6年生の子は札幌地下街で行われたポスター展で「見ている君も共犯だ」と、そういうポスターを作っていました。今私達大人がこういう子供たちから学ばなければならないのは「見て見ぬ振りはダメなんだ。差別の声を放置してはダメなんだ」という事なのではないでしょうか。皆さんお配りしているチラシをぜひ手に取ってお持ち帰りください。そして地域からヘイトスピーチは許さない、文化の違いをお互いに認め合う社会を共に作りましょう。寒い中ではありますが皆さんでこの集会を成功させましょう。

 

上田文雄 前札幌市長のスピーチ

  

 ヘイトスピーチは多様性を否定する排除の論理。人の心を深く傷付ける様な方法で行われている事が私は悲しく、そして怒りと共に「こういう札幌にはしたくない」という事を皆さんに伝えて行きたいと思っています。この素晴らしい札幌。雪の時は特に美しい。その札幌の雪を汚い言葉で人を非難し、人を排除し、差別する言葉で汚してはならない。それは札幌の叫びでもあり、日本の全ての街に於いても行われてはならないとする声を、この場から皆で発して行かなければならないと思います。

 排除する、多様性を否定する、それは一見少数者対し向けられているようで、やがて私達の身に振り返って来て精神的な自由を失う「素地」を作ってしまう真に恐ろしい物であるという認識を皆さんと一致させて行きたいと思っています。表現の自由の健全な発展の為には悪質な言葉の暴力をこれ以上放置する事は出来ないという思いで輪を広げて行きましょう。